2013年3月23日

迷った挙句、鹿島槍ヶ岳東尾根は断念。

北アルプスの鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ・2889.1m)東尾根を目指す登山の2日目、いよいよ核心部に突入です。

これは雪洞を出て出発をしたところ。
まあ何だかんだ言っても雪洞はそれなりに快適で、湿っぽかったにも関わらず、ぐっすりと眠ることができました。


出発して間もなくアイゼンを装着、ピッケルに加えてバイルも取り出して、急斜面はダブルシャフトやダガーポジションを取り混ぜながら登って行きます。
しかし雪質は、かなり不安定。
途中、隠れた雪穴に胸まではまったり、立ち込んだ足場がいきなり崩れて転倒しかかったりと、わずかだと思っていた一ノ沢ノ頭まで、何と1時間半もかかってしまいました。。

そしてこれは、一ノ沢ノ頭から、核心部に続くヤセ尾根を見たところ。
う~ん、どうしようかな?
ここまでの雪質は悪くて時間はかかりそう。
特に写真中央上部では、本当に雪の部分が痩せていて、通過はやっかいな事になりそうです。
おまけにテントがなく、中途半端なところでビバークすることになったら大事です。
かなり迷ったのですが、パートナーに今回はここまでと告げ、下山することを決意しました。

ということで一気に下山。
まだお昼前だったので、大谷原からタクシーで大町山岳博物館へ連れて行ってもらいました。
北アルプスの登山の歴史にまつわる展示物など、程々に展示物は充実していて、興味深く見ることができました。

さらに屋外には、付属動植物園もあるとのことで、こちらも見てみることに。
トビやフクロウ、タヌキやカモシカなど、様々な野生動物たちが飼育されていました。

山岳博物館の見学を終えて外に出ると、空は晴れ渡り、後立山連峰の大展望が広がっていました。
左が爺ヶ岳(じいがたけ・2669.8m)、右の双耳峰が鹿島槍ヶ岳です。
山を敗退して下山し、そして麓から晴れ渡ったその山の姿を見上げるというのは少々複雑な思いではありますが、まあやむを得ません。
この後は徒歩で信濃大町駅へ向かい、ちょうど良い時間の特急あずさ新宿行きに乗車して、東京への帰路につきました。

▼参考書籍(Amazonへのリンク)

鹿島槍ヶ岳東尾根のルートが紹介されているのは、この4冊。
(もしかしたら他にもあるかもしれませんが、私が持っているのはこれだけ)
しかし残念ながら、一番右の『日本登山大系6』以外は、全て絶版になっているようで、入手は難しいかもしれません。
後は雑誌『岳人』にも時々記事が載っていたように記憶しています。
最近はこういったバリエーションルートの情報を得るのが、少しずつ難しくなっているようにも思います。
ネット上で、その時その時のリアルな記録というのは、入手しやすくなってはいるのですが…。

<追記>
この山行の2日後、大町署から問い合わせがありました。
我々が下山した23日に、天狗尾根に入山した単独の男性が連絡を絶ったとのこと。
我々とはルートが異なるため、特に役立つ情報は伝えられなかったのですが、雪の状態が悪いことはお知らせしておきました。

さらに翌日、再び大町署から電話が。
前日の男性は、下山中に骨折して身動きがとれないところを、無事ヘリコプターで救助されたそうです。
しかしやはり23日に天狗尾根を目指した別の2人組との連絡が取れず、情報を探しているとのこと。
こちらも残念ながら、特別なことはお知らせできませんでした…。

ところが翌日、このお二人が心肺停止状態で発見されたとのニュースが流れていました。
心肺停止状態とは一見、心臓と呼吸が一時的に止まっているだけのような、期待を持たせる表現ですが、私の経験上、この言葉は死亡を表しています。
残念なことです。

晴れ渡った鹿島槍ヶ岳を見上げつつ、後ろ髪を引かれる思いを感じつつ信濃大町駅を離れたのですが、今回は無理をせず引き返して良かったのかなと、そんな気持ちにもなりました。

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